稲毛散策報告

 

JR稲毛の駅は標高18mほどの台地に位置します。昔はこのあたりにはサツマイモが干してあったそうです(幕張に青木昆陽の碑あり)。当日は中止になったと知らずに、2名の方が駅に見えられました。

 

道路(千葉街道:R14号から上がってきたかつてのメインストリート:明治天皇の野立の記念碑あり)を横切り、住宅地を通り抜けると、右に下る坂があり、途中に大きなタブノキがあります。この坂は田んぼに下りる道でした。昔から主に京成稲毛駅の南側に民家があったようで、稲毛は台地から海に向かって開けた谷津田ということになり、真ん中に草野水路(塩田川)が流れています。

 

今は護岸工事された草野水路、京成線路の海側では潮の干満が見られます。海に近いのでボラの成・幼魚が見られたのですが、最近なぜかその姿が見られません。サギ類・カワセミもやってきます。今冬は、いつも来るオオバンに加え、海ガモのスズガモが数羽やってきています。

 

 

途中通った細い路地には、なぜか万年塀がよく使われているのですが、この塀は耐震という方面ではどうなのだろう?と。

再び、千葉街道に出て渡ると、浅間神社です。神社に隣接してある愛新覚羅溥傑(あいしんかくらふけつ:清の最後の皇帝溥儀の弟)氏と夫人の浩さんが新婚時代の半年を送った寓居(「ゆかりの家」休館中)があります。

            浅間神社
            浅間神社

溥傑氏は戦後戦犯として中国で暮らされました。庭には、春はアンズが咲き、珍しいハルニレの若葉がきれいです。初夏にはハクウンボクが咲きます。5年ほど前から急に出てきたコシオガマ(半寄生)が10月初めによく咲きます。

 

浅間神社の社殿は昭和39年に焼失し、今の社殿は少し離れたところに建てられたものだそうです。7月の大祭には賑わいます。何年か前から変わった木々が植栽されており、オガタマの仲間のミヤマガンショウ(深山含笑)が3月下旬に咲き、4月はキンカチャ(金花茶)という黄色いツバキ、ハイノキ、そしてカラタネオガタマ、常緑のヤマボウシ、秋にはゴルドニア(台湾ツバキ)という椿の仲間など。

 

            イヌノフグリ
            イヌノフグリ

神社の鳥居のある国道14号より南側はかつて遠浅の海で、潮干狩りのメッカでした。今は埋め立てられていますが、日当たりのよい砂地には、珍しくなったイヌノフグリも残っています。種をアリが運ぶので、毎年少し違った場所で見られます。(イヌノフグリの花は直径3mmくらいのピンクの小さな花で、咲いていても気づかないくらいの大きさ)。

オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリ
     神谷伝兵衛の旧別荘(現市民ギャラリー)
     神谷伝兵衛の旧別荘(現市民ギャラリー)

 

海辺ということで、明治~昭和の頃、夏には避暑を兼ねて文人墨客がここを訪れました。市民ギャラリ-の横には、神谷伝兵衛の旧別荘が残されており、国の登録有形文化財になっています。

 

森林管理事務所の土手には、8月の下旬にキツネノカミソリが咲きます。

 

根上がりの松            
根上がりの松            

浅間神社裏の松林、砂で高く盛り上がっています。東京湾に向かって開けた谷津は、夏の南西風のせいか、上流から運ばれる泥と海から寄せ来る砂がたまり、そこに防風林として松が植えられたのです。それが今は海が埋め立てられ、また上流から運ばれる土砂もなくなったことによって、あたかも松の根が浮き上がって見えます。そのため、「根上がりの松」と呼ばれています。南西風の名残が、斜めに立つ松の姿に表れているのです。

            (太田慶子)